治験のデータ捏造で一番こわいのが架空の患者を医師が作ってしまうことだ。
この手の捏造をやられると、こちらもなかなか見抜けない。
データの捏造までいかなくても、都合のいいデータの解釈をするというのも、ある。
また、贈収賄事件にまで発展してしまった例もある。
何故、このようなことが起こるのか?
新薬開発においては、「儲けるため」とか「成果を早くだしたいため」など、損得勘定が裏にある。
では、純粋に基礎研究の場合はどうだろう?
「科学者」は政治家でも無いのに(あれ?科学者でも政治家はいるか)なぜ不正行為を繰り返すのか?
本書『背信の科学者たち』では、科学者とその科学者の集団である科学界(科学コミュニティ)におけるデータ捏造が何故起こるのかを実際の例をもとに解析している。
誠実で「真理の探究者」と尊敬されている科学者による不正行為が後を絶たない。
なぜ、彼らは自らの名誉と職を失いかねないリスクを冒してまでも不正行為に手を染めるのだろう?
よっぽど、甘美な罠がしくまれているのだろう。
ガリレオ、ニュートンなど大科学者から詐欺師まがいの研究者まで豊富な事例を通じて、科学の本質(と人間の本質)に迫る作品だ。
最近も、某有名大学の教授と助手が「信憑性に欠ける」論文を出したかどで、懲戒免職なったよな。
新薬開発におけるデータの捏造を無くするにはどうしたらよいのか。
この本『背信の科学者たち』に少しはヒントが隠されている。
■背信の科学者たち

■背信の科学者たち