本書は「臨床開発」ではなく「基礎研究」の本だ。
しかし、ただの方法論ではなく、実際に使われている薬がどう創られてきたかという興味津々な部分をコンパクトに紹介している。
例えば、古くはアスピリン、インスリン、モルヒネから新しくは抗ウイルス剤、アルツハイマーの薬「アリセプト(ドネペジル)」、DDSの話題、そしてゲノム創薬まで。
臨床開発も大変だが、基礎でのシーズ探しのスクリーニングや新しい発想など、これまた苦労が絶えない。
だからこそ、「面白い仕事」なのだが。
この本は一般市民を対象として書かれてはいないが、ある程度の化学的知識、生物学的知識が有れば面白く読める。
なにしろ、ドネペジルを開発した研究者自身が書いた章もあるのだ。
本書は非薬学出身者で治験業界、製薬業界に入ったきたひとが薬の勉強をするときの「刺激剤・興奮剤・触媒」として読めるのはもちろんのこと、薬学出身者でも、最近の創薬技術をおさらいするのに丁度よい。
「新しい薬」を創るのって、どうして、こんなに面白いんだろう?
(なお、筆者たちは全て京都大学大学院薬学研究科の教授たちだ。)
●新しい薬をどう創るか

●新しい薬をどう創るか―創薬研究の最前線
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